"ナレッジ" is "アセット" 書評vol.3『総合商社論』

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商社ビジネスとは、まずはサプライ・チェーンの重要セグメントのトレーディングで競争優位を確立し、次いでサプライチェーンの川上・川下段階に直接的間接的に事業展開して、トレーディングの収益力の強化とサプライチェーンへの影響力を高める点に本質があると考える。『総合商社論』榎本俊一
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私は、医療機関、患者に医療サービスをじかに提供する病院/診療所を中心とし,ITその他のヘルスケアサービスを擁する、医療サービスの"総合商社"を作るつもりである。

言ってみれば、
右手に"病院"、左手に"企業"

ワンストップで一連のサービスを、同一の組織体で提供するグループの運営を目指している。無論株式会社の医療法人の支配は厳しく制限されている。また医師会の意向で医療法人は非営利の方向性は維持される方針だが、どこかで長期的には潮目が変わると読んでいる。
(なお、三井物産がタイのアジア最大の医療グループに出資している)

さて、"総合商社"とは一体何をやっているのか?
以前は名前の通り、貿易で手数料をとっていた、中間卸業者であったが、現在は、事業投資でアジアを中心に開発を行い、連結利益で稼いでいる"投資会社"である。(ソフトバンクグループに近い)
実はこれは、世界的にみるとかなり独自のビジネスモデルである。
Black rockやCarlyleといった、未公開企業に出資し、売却で利ざやを取る、プライベートエクイティファンド(PEファンド)とも違う。

私は"医療サービスグループ"として、現場としての医療機関を中心に据え、IT、メディアといった事業会社がシナジーをもって、お互いに機能するイメージが理想なので、総合商社のビジネスモデル、とりわけ"value chaine"に興味があった。

本書は、90年代に資産価値の下落により、存亡の危機に瀕していたが総合商社が、どのように投資会社へと変貌し、V字回復をしていったかが、書かれている。三菱商事は経済学者マイケルEポーターが提唱した"value chaine"を、用い、商流の川上から風下まで、抑え、さらに統計的な手法を駆使して、リスクヘッジを行いながら、事業投資を行っている。

同じことを繰り返し書いているので、専門書としてとして内容は薄いのだが、門外漢としては、頭に入るので良かったと思っている。

 

総合商社論

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